観劇1回目と2回目で感想がこんなにも変わった作品は、初めてかもしれない。
※この先ガッツリネタバレしてます
あらすじ
ウィリアム・シェイクスピアの
『テンペスト』を上演することになった
人気劇団。だが稽古を迎える前に演出家が急死。
困り果てた劇団員の前に現れたのは、
一人の天才役者だった。
彼の存在は反発と憧憬と混乱を生んだが、
どうにか公演初日を迎えることとなる。まさに開演しようとしたその時、
劇場にかつて劇団を追われた男が現れる。
その男の目は、復讐の炎に燃えていた…。彼の発した宣言により、
嵐のような初日の幕が開ける。『テンペスト』は裏切りと欲望、
そして悲しき過去の渦巻く
怒涛の物語として進んでいく。
復讐の果て…その終着地とは?「さあ、始めよう。
私の人生を奪った
“演劇”に復讐を」
感想
私が少年社中と出会ったのは2018年の「MAPS」で、それからほぼ毎公演観てるんだけど、社中の作品の根底にはいつも人間讃歌、生きることへのパワー(プラスのパワーもマイナスのパワーもごちゃまぜ)があると思っていて、そしてそれが好き。
「テンペスト」はあらすじの通り嵐のような物凄いパワーで駆け抜ける作品でした。
観劇1回目、パワーやエネルギーは感じたけど、"人間讃歌"感は感じ取れなくって正直う〜ん…だったんだけど、2回目は初回では受け取れなかったものがバンバン頭に入ってきて泣きそうに…。
自分でもなんでこんなに印象が変わるんだろう?と不思議でしばらく考えてたのだけど、「物語のどこに焦点を当てて見るか」が変わったのが大きかったんじゃないかなという結論に辿り着きました。
1回目の時は、原作でいうプロスペローの立ち位置のギンの復讐劇と"過去の劇団"に焦点を当てて観ていて。ギンは自らの過去を顧みはするけど、パワハラ問題は解決してなくない?なんで皆は受け入れてるんだ?ってひっかかったままラストを迎えた。
2回目は、ストーリーが頭に入ってることもあって、カグラとシュンと"現在の劇団"に焦点を当てて見てた。そしたら、2人とも言葉が足りなくてすれ違い続けてるし、全然本心打ち明けてくれないしで、ギンとラン(とゲキ)が「今の劇団」に起こしたテンペストは劇団にとっても必要なものだったのかもって腑に落ちました。
このタイミングでテンペストが起こらなければカグラは第二のギンになっていたかもしれない、劇団も今度こそダメになってたかもしれない…!
それから、私の好きな人間讃歌要素もちゃーんとあった…!私が聞き流してただけ…!笑
シュンがカグラに訴える「ゲキさんとはできなかったけどお前とならできる」「楽しいから」「だって生きてるから!」って言葉でウワーーーー私の好きな社中だーーーって鳥肌立ちました。最高だった…!!
あとは、単純に役者の細かい表情をキャッチできるか否かで満足度がだいぶ変わるなーと!
これに関しては私のお芝居を見る筋力が落ちてたのもあるけど… 言葉を文字面通り受け取ったらダメというか、"言ってることと内心思ってることが全然違う"っていうのが表情から汲み取れると、登場人物たちの心情がより理解できてつら(楽し)かったです。
好きなシーン・ポイント
- オープニング&エンディング
井俣さんと拡樹さんの口上が格好良すぎるよ〜〜2人がセンターに収まった時の無敵感が素敵でした。
カグラとシュンが殺陣をするところ、オープニングでは真顔なのにエンディングだと笑顔になってるの!! カグラが演劇を楽しいって感情を取り戻したからかなぁと思った!私が観た回はぴろさまがフェイントかけて遊んでるように見えてお茶目でかわいかったです笑
「俺たちは生きる」「この板の上で!」がぴろさまなのグっっときすぎた、ありがとうございます…
- ランとギンの「舞台に上がっていく」やり取り
これは席運ありきなんだけど… 舞台上のランと客席のギンのちょうど直線上に自分の座席があってギンの視界を疑似体験できたんだけど、ランの圧・パワーが凄まじい!!凄すぎてクラクラしたし泣きそうになっちゃった😂
こんなパワーで向き合ってくれたら、そりゃギンも舞台に上がるよな〜 てか受け止める井俣さんもとんでもない〜〜
- 劇中劇とのスイッチング
カチンコのSEとスポットライトひとつで劇中劇と普通の場面をシーン転換するのが凄い。特に拡樹さんの、inランとinゲキの演じ分けがもう別人レベルで凄い。
- ヒナタ(すべて)
れおくんってこんなに笑い取れるんだね?!なんか既視感あるんだよな〜と思ってたんだけど、雅マモルでした。笑
劇中劇でカグラに対等な立場になりたいって宣言するところ、男前でかっこよかったよね!
あとダンスシーンはさすがでした。ダンスするヒナタを見つめるカグラ、最初はほよよ〜😗🥺?って顔してるのが段々笑顔に変わるのがカワイイ…笑
- シュンとカグラのやり取り
いや…きみたちもっと会話しな〜〜?!
カグラは「操り人形」発言を後悔してたけど、シュンはそんなカグラのことを「あいつは自分の目で物事を見れる」って評価してて、あまりのすれ違いっぷりに…もっとうまくやれるでしょ!!会話しなよ!!!
演劇は楽しいものだって思い出させたいシュンに涙だし、「演劇が手から溢れ落ちていく…」のカグラの表情に涙涙でした。😭
- ラン(エアリアル)の台詞
登場シーンの台詞、「夢かもしれない」。拡樹さんが発すると本当に夢かもしれないって思わせられる。 劇場で起こった出来事は儚いけど、夢で終わらせないために、こうして必死に感想ブログを書いて記憶に留めようとしてるんだよな〜。 私がブログに残すことで、誰か1人でも作品に興味を持ってくれたら嬉しいし…
話が逸れましたが、拡樹さんが話し出すとグッと引き込まれるのが凄いなぁと。
あと、最後の「夢の続きを見せてやる」が格好良すぎます!!!
- ありそさん 声良すぎ
ありそさんの声良すぎ、めちゃ通る
- 衣装!ヘアメイク!デザイン!
少年社中の衣装とメイクは鮮やかで毎回好きなんだけど、特に今回のテンペストは好みど真ん中でした!!! きらきら華やか、チェック柄が特にかわいくて好きでした…!舞台衣装の写真も欲しいなぁと常々思ってる。
そして、ポスターもロゴもとっっても素敵で!クラシカルな雰囲気が素敵でした…
https://x.com/mujinaart/status/1730568978140156066?s=46&t=KzbZw30UkKq65w83tb319Q
まだ大阪公演があるので、少しでも気になってある方はぜひぜひ。オススメです。とても良いので。